「沢田研二A面コレクション」なる三枚組を聞いている。
ザ・タイガース解散後PYGを経てのソロ活動。概ね年代順にまとめられたこのアルバムを聞いていると、暴力事件での謹慎後「勝手にしやがれ」以後の破竹の勢いに至らなかったら、どうなっていたのかということが気になる。
ソロ活動の初期のシングルはセールス上はかなりの売上があり、復帰後のヒット曲の数々も「時の過ぎゆくままに」のセールスには追いついていない。
人気が加熱しすぎたゆえに起こった暴力事件でもある。
だから売れ続けたのだろうとは思うけど、その頃の曲はメロウなメロディにドラマチックな歌詞を乗せて独自の世界観を構築するものが多く、その路線を続けていても固定ファン以外は衰退していったのではなかろうかと思う。
復帰後は「ザ・ベストテン」などで毎週のようになにかしら歌う機会があったのが大きく、多くのファンに印象に残っているのはこの頃の楽曲だろう。
実際、ヴィジュアルの演出が曲ごとに入れ替わり、巧妙で日本のグラムスターとして他の追随をゆるさないほどの独走と独創を演出した。
暴力事件からの謹慎がなくても、どこかで派手なグラムスターとしての覚醒があっただろうとは思うけど、やはり謹慎期間がセルフプロデュースの上で大きな変化をもたらしたことは確かだろうと思う。
ザ・タイガースも含め沢田研二の活動期間の全体を通して言えるのはやはり声もヴィジュアルもセクシーなスターで、ドラマ「寺内貫太郎一家」で樹木希林(当時は悠木千帆)が演じるおばあちゃんが身悶えしながら「じゅ りぃぃぃ」と言うのもよく分かるキャラクターだったということだ。