「宇宙戦艦ヤマト」っていろいろばかにされるけど、放映当時としてはいろいろ画期的な作品だった。
長期のテレビシリーズ全体で大きなストーリーを動かす。
たいていは毎回違う敵が襲ってきてヒーローが退治しておしまいという一話の繰り返しの中でシリーズ通して14万8千光年の旅路を描くというのは稀有だった。
このスケール感と「人類滅亡まであと〇〇日」とカウントダウンしていくことで危機感を煽るテクニックに当時の子供達はメロメロだった。
当時頭角を現してきたSF作家、藤川桂介や豊田有恒らが参加し、SF考証に厚みを持たせた。
ヤマトの様々なテクノロジーや放射能汚染された地上から避難して暮らす地下の描写、ワープという言葉を日本に浸透させた功績も大きい。
細かなことを言い出せばきりがないが、作品世界の中では科学的な説明がそれなりになされている。
天体の描写も様々で「異星」というものをはっきりと意識させてくれた。
機器類の操作を具体的に事細かに描いた。
波動砲の発射シークエンスや反射衛星砲の衛星の角度の制御なんかがやけにリアルでワクワクした。
他にも色々あるが「宇宙戦艦ヤマト」はなんだかんだでSFというものが持っている可能性を当時最大限に表現してみせた作品で、続くテレビシリーズも細かなこだわりは貫かれていた点がSFへの入り口として効果的に作用したように思う。
映画はかなり雑な話の作り方でげんなりすることも多いし、著作権争いでももめたのでそのへんは残念だが、わたしたちを宇宙の旅へと連れて行ってくれた功績は非常に大きい。
だからヤマトでSFに目覚めた諸君、堂々とヤマトへの思い入れを語るといい。
ヤマトをバカにしている人たちをその熱意でもって黙らせればいいんだ。